公開日:2026年08月15日
Clarityの基本的な機能や導入方法については、Microsoft Clarityの導入から使い方までにまとめています。
Microsoft Clarityに「AI Visibility」が追加され、生成AIの回答に自社サイトがどれだけ引用されたかを、無料で確認できるようになりました。ただし、この数字が示す範囲には明確な限界があります。何が測れて、何が測れないのか。実際に7ヶ月分のデータを分析し、施策に落とし込んだレポートをベースにご共有します。
AI Visibilityは、Microsoft Clarityに追加された、生成AIの回答内での自社サイトの露出を計測する機能です。Clarity自体は従来どおり無料で、ヒートマップやセッション録画と同じ管理画面から確認できます。
機能は大きく2つに分かれます。CitationsレポートがAIの回答に引用された実績を、Bot ActivityがAIのクローラーによるアクセス状況を示します。前者が「結果」、後者が「その手前の取得状況」にあたります。
AIの回答内で自社サイトが情報源として引用された回数です。クエリ別とページ別の両方で確認できます。表示回数でもクリック数でもなく、回答の根拠として参照された回数である点が、従来の検索指標との最大の違いです。
そのクエリで発生した引用全体のうち、自社が占めた割合です。AI可視性の指標のなかで、唯一「競合との相対関係」を含みます。引用数が増えていてもSoAが下がることがありますが、これは市場全体が拡大した局面で自社の取り分が追いつかなかったことを意味します。
AIの回答に表示されたリンクを、ユーザーが実際にクリックしてサイトに訪れたセッションの割合です。正式リリース時に計算式が厳格化され、ボットによる水増しが除外された結果、多くのサイトで1%を大きく下回る値になっています。
GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBotといったAIクローラーが、どのページにどれだけアクセスしているかをサーバーサイドで計測します。引用の前提となる「そもそも取得されているか」を確認する機能で、こちらはCitationsと違い、各社のクローラーを横断して見られます。利用にはCDN連携(WordPressの場合はプラグイン)が必要です。
ChatGPTが検索エンジンとしてMicrosoftのBingを利用していることから誤解されやすい点ですが、ClarityのCitationsレポートが対象としているのは、Microsoft Copilot、およびCopilotを利用しているサービス(Bing検索、WindowsのCopilotなど)に限られます。ChatGPT、Gemini、Perplexityといった他社AIのデータは含まれていません。これはMicrosoftが公式に明示しています。
ここは実務上、重要なポイントです。当社が支援する国内BtoCメディアでは、AIアシスタント経由の流入のうち約6~8割をChatGPTが占めています(GA4測定ベース)。Copilot経由は、本記事のケースではその4分の1程度でした。
Clarityの数字は「AI検索全体での可視性」ではなく、「Copilot圏での可視性」として読む必要があり、Copilot圏のユーザー属性が乗っているという前提で見るようにしましょう。
ClarityのAI Visibility機能追加に後追いするように、
Googleも、Search Consoleに「AI features」レポート(ベータ)を追加しました。AI OverviewsおよびAI Modeでの表示回数を、ページ別に確認できます。
ただし、こちらも取得できる情報は限定的です。表示回数のみで、クリック数・クエリ・掲載順位はいずれも取得できません。通常の検索パフォーマンスレポートと合算されることもありません。
| Microsoft Clarity | Search Console AI features | |
|---|---|---|
| 測定対象 | Copilot圏(ChatGPT・Gemini・Perplexityは対象外) | Google AI Overviews/AI Mode |
| 指標 | 引用数・SoA・AI経由トラフィック | 表示回数のみ |
| クエリ | 上位100件まで | 取得不可 |
| クリック | 取得可(AI referral traffic) | 取得不可 |
| 競合との比較 | SoAで可能 | 不可 |
| 費用 | 無料 | 無料 |
役割分担として、現時点では勝ち負けの判断はClarityのSoAで行い、Googleでの露出量はSearch Consoleで見る方針が合理的です。どちらか一方では、施策の判断材料になりづらいです。
当社では、国内BtoCメディア(月間表示回数 約250万規模)で、取得できたAI可視性データ(Clarityを7ヶ月、Search Console AI featuresを2ヶ月分)遡り、運用や施策と照らし合わせ分析しました。そこで得られたインサイトから、とくに実務に効く3点を挙げます。
Copilotからの引用がサイト2位(月3,414件)でありながら、Google AI featuresでの表示は49件、通常検索では平均35位圏というページがありました。逆に、Google AI featuresの表示がサイト最大級(月7,562件)なのに、Copilot側のシェアは11%台という記事もあります。片方のデータだけでコンテンツの良し悪しを判断すると、逆の結論に至ります。
上位5ページが占める割合は、Clarity(Copilot圏)が56.1%に対し、Google AI featuresは26.1%でした。Copilotは少数の強いページを繰り返し引用し、Googleは広く薄く出す傾向があります。前者には特定ページの作り込みが、後者にはサイト全体の網羅性が効くことになり、予算配分の判断が変わります。
Clarityの上位100クエリを前月と比較したところ、49件が新規、49件が消滅していました。特定クエリのシェアを単月で追っても、施策の成果とノイズを区別できません。指標の単位は「クエリ」ではなく「ページ(=クエリのまとまり)」に置く必要があります。
検索順位=SEOの評価の評価と、GEO/AIOの評価(生成AIによる引用率etc.)は必ずしも一致しないことは、認知されつつあります。観測が難しい生成AIモデルによる差についても、今後可視化が進むでしょう。
両ソースとも正式版ではありません。実際に運用するなかで、弊社でも次のような事態に遭遇しています。
「開放された」は「完成した」ではありません。単月の増減に惑わされず、複数月の傾向も読みつつ、「データが誤っている」可能性も織り込む必要があるでしょう。
ClarityもSearch Consoleも無料です。そして、どちらも過去に遡ってデータを取得することはできません。
AI検索への対策に本格的に取り組むかどうかを決めるのは後でかまいません。ただし、計測を始めた時点からしかデータは貯まらないため、判断材料が必要になったときに手元に何もない、という状態は避けられます。Clarityの設置はタグ1本、Search ConsoleのAI featuresは既に導入済みであれば追加設定なしで確認できます。
本ページで触れた内容を、実データと具体的な手順まで含めてまとめた資料をご用意しました。
『AI可視性は、測れるようになったのか』
40ツール比較から半年、プラットフォーム一次データによる実測検証レポート(全15ページ・PDF)
本資料は記事としての公開はしておらず、アンケートにご回答いただいた方限定でお渡ししています。
無料です。Clarity自体に利用料はかかりません。ただしCitationsレポートの利用にはドメイン所有権の確認が必要で、Bing Webmaster ToolsまたはGoogle Search Consoleとの連携を行います。
できません。Citationsレポートの対象はCopilotおよびCopilotを利用するサービスに限られ、ChatGPT・Gemini・Perplexityは含まれていません。ChatGPT経由の状況は、現時点ではGA4の参照元/メディア(chatgpt.com)で流入を見るか、ClarityのBot ActivityでGPTBotなどのクローラーのアクセス状況を確認する方法になります。
見られません。2026年8月時点で取得できるのは表示回数のみで、クリック数・クエリ・掲載順位はいずれも提供されていません。
そのクエリの引用市場全体が拡大し、自社の取り分が追いつかなかったためです。SoAは相対指標なので、市場が拡大する局面では引用数が増えていてもシェアは落ちます。引用数とSoAは必ずセットで確認してください。
別物として切り離すべきではありません。Copilotだけが評価しているページは通常検索側に問題を抱えていることが多く、その場合はSEOの基礎(順位、内部リンク、インデックス状況)を先に確認する必要があります。AI対策のみを単独で進めても効果を測定できません。
ディー・エム・エヌ合同会社|dmn llc.
dmnwは渋谷・世田谷を主な拠点とする広告代理店ディー・エム・エヌ合同会社が提供する、ホームページ×SEO×MEOに特化したサブスクサービスです。全国対応、あらゆるウェブマーケティングをワンストップで提供します。